苗場山麓に生きていた生物

⑴ 化石とは何か
化石とは、有史以前に生きていた生物が生活していた痕跡である。生物の本体だけでなく、足跡、巣穴、糞なども化石という。これを、「生(せい)痕(こん)化石」という。
体化石
生物の体、骨、歯、殻など硬い部分が化石になったもの。
例)アンモナイト、恐竜の骨、琥珀
生痕化石
生物の活動痕跡が化石になったもの。
例)足跡、巣穴、糞
化学化石
地層中に残された、生物に由来する有機物の痕跡。
目に見えるものではなく、炭素の同位体比の分析などによって明らかになる場合がある。
⑵ 化石のでき方
①短期間で遺骸(いがい)(生物の死骸や生きていた痕跡)が埋まる。
②地中深くに埋まり、固い堆積岩になる。
③大地が隆起し、上部の地層が削られ、化石が現れる。
①~③のように、極めて幸運な条件下でできる。
 苗場山麓では、新生代第三紀(約1,800万年前)以前の古生物(化石)は見つかっていない。それは、苗場山麓では、日本列島を二分するフォッサマグナ(大地溝帯)の北東部に位置し、新第三紀中新世下部の地層(約1600万年前)以前の地層が見られないことによる。苗場山麓においては、結東層から大沢(おおさわ)層・上野(うわの)層・葎沢(むぐらさわ)層や、かつて海底や湖底に堆積した魚沼層群では、化石が発見される可能性があるものの、この地域は関田山脈・毛無山・鳥甲山・苗場山による火山活動により、域内の70~80%がその堆積物で覆われ、かつ大沢(おおさわ)層・上野(うわの)層・葎沢(むぐらさわ)層の露出は確認されていない。そのため、古環境を示す生物化石を保存する環境が乏しい状況にある。
しかし、苗場山麓では、新生代第四紀更新世の時代、約120万年前ころ、中国大陸から渡り、約70万年前まで生息していた。魚沼層群中の上越アッシュ(SK030)の上部に、このケナガマンモスの祖先に当たる古型マンモス(ムカシマンモス)の臼歯を産出した。
⑶苗場山麓とその周辺で見つかる化石
 苗場山麓は、火山活動でできた溶岩地帯や火砕流(かさいりゅう)・泥流(でいりゅう)で覆われた場所が大半を占めているため、古生物(化石)の発見の可能性は乏しい。
山伏山の東500m付近に分布する化石(海水温が低い環境)
 アキタキサゴ・キララガイ・エゾタマキガイ・オウナガイ・フネソデガイほか
苗場山麓周辺
 メガロドン(サメ)の歯・魚の化石(清津峡(きよつきょう))・ヒゲ鯨亜目の下顎骨(松之山)ほか
⑷古生物(化石)が教えてくれること
示準(しじゅん)化石とは、ある時代に世界中に分布(生息)していた生物の化石で、地層の新旧や重なりを調べるときの重要な証拠となる。例えば、古型マンモス(新生代第四紀)やビカリヤ(新生代第三紀)は、短い時代に広い地域に生きていた生物で、発見された地層が堆積した時代を教えてくれる化石である。
<示準化石の例> ・ナウマンゾウ:第四紀更新世(43万年~2万4000年前)に日本に生息。全国で200個所から産出。
ビカリヤ:新生代・新第三紀1,600万年前の時期(中新世だけ生息していた。)
アンモナイト:中生代白亜紀に生息していた。
恐竜:中生代に繫栄した。
サンヨウチュウ:古生代カンブリア紀に繁栄した。

示相化石は、地層が堆積したときの環境(気温・水温・水深など)の推定に役立つ化石を言う。
地層の中にサンゴが見つかれば、その地層は暖かく水の澄んだ浅い海でできたことが分かる。

・ハンノキの葉:冷涼な気候 ・ブナの葉:寒冷な地層 ・サンゴ:暖かくきれいな浅い海 ・ホタテガイ:冷たい海 ・シジミ:河口または湖
赤字の生物は、苗場山麓域では発見されていない。
発見場所の記録 (作者:大塚与四次)
古型マンモスの発見場所(中津川左岸、穴藤)
ゾウの歯の生え変わり方
上顎と下顎の臼歯模型図
参考文献

阿部泰弘・堀川秀夫 1986 「中魚沼郡津南町赤沢、関沢清勝氏収集化石の紹介」『新潟県地学教育会誌第20号』
野尻湖哺乳類グループ 1997 『骨ほねクラブ第2版』
竹内圭史・吉川敏之・笠井俊孝 2000 『松之山温泉地域の地質 2000』 地質調査所
近藤洋一 2014 「津南町で発見されたゾウ化石と化石の産出するジオパーク」『津南学』 津南町教育委員会