土器の製作は、粘土を付け足していく加法であるのに対して、石器は、石材を割減らす、すり減らすといった減法によって作られる。
さらに、天然の石材をそのまま用いるため、同一の石材であっても石質に差があり、土器制作よりも石器製作には技術的制約がある。
石器製作方法には、打ち割りによる「打製」とすり減らす「磨製」がある。そして、石器製作には、石材の獲得、整形、仕上げの工程がある。
「打製」技術は、ハンマーで石材を打ち割る作業であるが、目的通りの割れを実現させるためには、石材の性質、ハンマー、そして、石割りの物理的法則を理解し、叩く場所と加える力を正確に制御する技術が必要となる。
打製による石割りの代表的な法則として、「ヘルツ割れ」がある。割れの力は、叩いた点から斜め方向に進行する。この割れの形から「ヘルツの割れ円錐」と呼ばれている。割れたかけらを「剥片」、元の石塊を「石核」と呼ばれている。石材には、黒曜石などのガラス質で剥離性が高い石材と粒子が粗く、結晶や節理が発達している剝離性の低い石材に分かれ、打製による石器製作においては、剝離性の高い石材が選択されて製作される。打製による石器製作技術には、直接打撃法、間接打撃法、押圧剥離法、両極剥離法など様々な技法があり、多様な石器が製作されている。
これら、石材と製作技術が体系化され、成形、仕上げ工程を経て、目的とする石器器種を製作されるのである。
縄文時代においては、多様化し、製作時間や労力が増加したと想定される。縄文時代の遺跡の中には、多量に同一器種の石器が製作され、出土する製作遺跡がある。集中化した石器製作と大量生産の実態は、石器の流通の成立が考えられ、当時の社会的な背景も考えられる。
ヘルツ割れの原理及び剥片と石核(笠懸野岩宿文化資料館1992)
押圧剥離の方法
水平回転技法と垂直打撃技法
代表的な石器による縄文石器の技術体系
参考引用文献
小菅将夫 2020「縄文石器の製作技術」『縄文石器提要』