苗場山麓の山里に残る生きる力は、豪雪の中で耐えしのぎ、支え合いの中から生まれたものである。現代日本から消え去ったとも言われている「コミュニズム」の原点が、雪深い苗場山麓に生き付く。
それは古の縄文時代に培われた自然との共生と共鳴なる「縄文哲学」が、苗場山麓の大地に埋もれ残されている現実がある。その代表格が国指定史跡の沖ノ原遺跡である。原始美術の代表格である火焔型土器を創造したムラであり、広場を囲み、竪穴住居が向かい合い環状に巡る構造を持つ。それはセントラルパークの原理そのものを、約5,000年前に営まれた苗場山麓の縄文ムラに原点を求めることができる。彼らは、自然界からムラを切り抜き、ムラ-ハラ-ヤマ-ソラと結ばれる「縄文人の空間概念」を意識し、その背景に自然との共生と共鳴の哲学が横たわる。
この文化的由緒を源流とした雪国文化が延々と今日までバトンリレーを続けてきた。すなわち、100日の越冬生活を耐え忍び、乗り越えるための生きる知恵の蓄積や共同体としての相互扶助体系の維持は、これからの災害日本を乗り切るバイブルとして評価されている。
その生きる知恵(智)と力(技術)を、五感で学ぶ教育的プログラムを津南町農と縄文の体験実習館“なじょもん”で模索・実践してきた20年の歴史がある。その基盤には、縄文文化と昭和30年代の現代民俗の交差がある。この交差から学ぶ尊さこそが、現在日本が求めるものである。
苗場山麓に向かう旅の目的は、自然と共に「生きる智と力」に触れて語り学ぶことにあるのであろう。このベクトルの軸を理解した持続可能な学習的な旅を提供したいものである。