本ノ木遺跡B地点と卯ノ木南遺跡出土の石器群の関係

 両地点から出土した不定形石器の色調や縞の状態、表皮の特徴から同一の石核から剥離された剥片の可能性があるとの観察所見から、接合を試みた結果、驚くことに遺跡間接合検証が行われた。すなわち、両地点が極めて近い時間において、不定形石器の製作に関わる人が持ち運んで廃棄したことが推測される。接合した資料は、共に剥片縁部に連続する微細調整を施す不定形石器であり、臨機的な作業に使われた可能性がある。両地点は約100m離れており、その比高は約3mである。
本ノ木遺跡B地点
出土不定形石器等
本ノ木遺跡の侵食谷出土の不定形石器
卯ノ木南遺跡出土の不定形石器等
本ノ木遺跡浸食谷と卯ノ木南遺跡の遺跡間接合資料
参考文献

佐藤雅一ほか 2017 『本ノ木-調査・研究の歩みと60年目の視点-』 津南町教育委員会
佐藤雅一ほか 2018 『本ノ木遺跡 卯ノ木南遺跡 家の上遺跡―信濃川上流域草創期遺跡群遺跡範囲確認調査報告書―』 津南町教育委員会
今井哲哉 2025 「本ノ木遺跡・卯ノ木南遺跡の遺跡間接合資料―遺跡間関係を探る展望―」『越佐補遺些』 22号 越佐補遺些の会