秋山記行が記された中津川上流の秋山郷の各集落にはお宮やお堂、ご神木、庚申塔などの石造物が今も残され、地域の人々に大切にされている。
お宮は、ほとんどが十二神社である。この神社は山の神を祀っている。秋山郷では、狩猟、木材、食べ物など様々な恩恵を受けていることから山への信仰が篤い。小赤沢集落では、2月12日に十二講という行事が行われる。主に狩猟を行う人々が集まり、山の神に感謝を祈る。
大赤沢集落の神社のみ、源氏の氏神である八幡社が祀られている。牧之も秋山が平家の隠れ里と伝え聞いていることから不思議に思い、聞き取っている。
お堂では、観音菩薩が祀られている集落が多いが、温泉が湧く屋敷、和山、切明の各集落では、薬師如来を祀る薬師堂がある。また、水源には、諏訪社が祀られている集落もある。
集落内や道沿いには、庚申塔や風神様、地蔵菩薩、如意輪観音、馬頭観音など様々な石造物が残されている。



