本ノ木式土器と室谷下層式土器を比較した場合、その型式学的距離がある。苗場山麓では、その間をどのように型式学的視点で埋めこむ資料を探索するかが当面の課題であった。現在でも、この間を埋めこむ資料群は皆無に近い。しかしながら、貝坂段丘面に立地する堰下遺跡と近接する貝坂桐ノ木平C遺跡から、数点の室谷下層式土器に対比される小破片をみつけ出した。少なくとも、両遺跡近傍で室谷下層式土器の古相段階に小規模ながらの活動があったことが認められる。しかし、遺跡の大半が攪乱を受けていたことから、その詳細を明らかにすることは不可能である。
しかしながら、本ノ木遺跡や卯ノ木南遺跡で安定的に出土した本ノ木式土器と草創期末に位置付けされる堰下遺跡や貝坂桐ノ木平C遺跡の室谷下層式土器とを比べた場合、それ相当の型式学的距離がある。
このような状況下で小千谷市元中子遺跡が発見された。その文様原体選択や文様構成などから、本ノ木式土器よりも新しく、室谷下層式土器よりも古い土器相であると推測される。けれども、複段階想定される型式学的距離の時間内でどの位置に帰属するかは、今後の類例増加を待ち、丁寧に考察するしかない状況にある。
元中子遺跡の土器群
参考文献
佐藤雅一ほか 1998 「貝坂桐ノ木平C遺跡」『平成10年度 津南町遺跡発掘調査概要報告書』
津南町教育委員会
佐藤雅一ほか 1998 「堰下遺跡」『平成10年度 津南町遺跡発掘調査概要報告書』
津南町教育委員会
安達桂祐ほか 2009 『元中子遺跡』 小千谷市教育委員会
佐藤雅一ほか 2017 『本ノ木-調査・研究の歩みと60年目の視点-』 津南町教育委員会