- 日本は、地球上の陸地の面積の0.25%にもかかわらず、活火山の割合は、7%と断トツに多い火山国である。
日本列島周辺のプレート分布
- 地球の表面は、地殻とマントル最上部からなる固い岩盤(プレートと呼ぶ)が10数枚覆っている。プレートは、年間数㎝の速さで水平に移動し、日本列島の日本海溝や南海トラフなどプレートの境目からユーラシアプレートの下にもぐりこんでいる。この動きが地震や火山活動の原因となっている。日本付近では、ユーラシア・太平洋・北米・フィリピン海プレートの4プレートがひしめく世界的にも稀な地域でもある。
- 日本海溝とほぼ平行に日本列島の火山帯が分布している。苗場山麓は、富士火山帯及び那須火山帯等の合流点に位置している。
- 苗場山麓は、フォッサマグナの北部に位置し、東北地方からの鳥海火山帯、森吉火山帯、脊梁山脈の火山帯、そして南からの富士火山帯との合流地点に位置している。このことから、この地域は、太平洋プレート、フィリピン海プレート、ユーラシアプレートとの相互の動きにより不安定な地域といえる。
日本の山と海岸 (島津光夫2018を一部改訂)
- 苗場山麓ジオパークとその近くには、多くの火山がある。下の図の「▲」は、第四期の火山を表している。苗場山麓ジオパークとその周辺には、多くの御火山があることが分かる。また、活火山もあり、近隣では「妙高山」と「草津白根山」、ほか「浅間山」などである。
- 苗場山麓ジオパークは、火山の噴火活動で流れ出した溶岩や火山性の岩石で広く覆われ、縄文時代から私たちの暮らしに大きな影響を及ぼしてきた。
苗場山周辺の第四紀火山及び火山の名称 (地質調査総合センター地質図 navi)
- 苗場山麓における火山活動は、火山噴出物の分布から、①関田山脈(菱ヶ岳(ひしがたけ)他)約220~150万年前、②毛無火山 約170~100万年前、③鳥甲火山 約80万年前、④苗場火山 約30万年前と考えられている。
- 関田山脈は、千曲・信濃川を上流・下流に区分する山地で、稜線に背斜軸がある地形のようにみえるが、北西側に崖をもつサギング地形がみられる。
- 毛無火山は、約170~100万年前に火山活動があった成層火山である。侵食が進み、もとの火山地形はほとんど残っていない。毛無山の北東部には「火山麓扇状地」が穏やかに広がり、火砕流や土石流が堆積している。毛無火山の噴出物は、千曲川にも流れ込み、川幅を狭めている。流れ出した溶岩には無斑晶ガラス質安山岩と呼ぶ黒く光る岩石が含まれ、一部志久見川流域に露頭で出ている。
毛無山
- 鳥甲火山は、日本二百名山に選ばれている。新第三紀中新世の堆積岩・石英閃緑岩類を土台として約80万年前形成された成層火山である。南から「白倉山―剃刀岩-鳥甲山-赤倉山-布岩山」の連山で総称して「鳥甲山」と呼ぶ。3回の火山活動が知られていて、中津川上流の屋敷や切明、中津川支流の雑魚川沿いに広く分布する。布岩山の麓では、見事な柱状節理を観察できる。また、鳥甲山の火山活動による火砕流堆積物は、中津川に流れ込み、一部は、十日町市まで達している。
- 苗場火山は、約30万年前に活動した成層火山である。山頂部は、平坦な安山岩質の溶岩面からなる。約3,000個もの池塘が点在する高層湿原が広がっている。
苗場山
- 苗場火山は、大きく4回の噴出時期があった。山頂部は、第3・4期の溶岩面、苗場山の北部に広がる小松原湿原は第3期の溶岩面である。第2期の噴出物の溶岩は約13kmも北に流れ、中津川を越えて龍ヶ窪まで達した。
- 苗場山には、4つの火山活動の時期があり、それぞれの層をつくっている。河川等の侵食や崩壊があり、堆積した姿は見えにくいが、図のように推定できる。
- N1:第1期 安山岩の泥流あるいは火砕流の堆積物や溶岩が中津川側に流れた。
- N2:第2期 厚さ50m以上の安山岩の溶岩が、約13kmも離れた沖ノ原台地に位置する龍ヶ窪付近まで達した。
- N3:第3期 安山岩の溶岩と泥流堆積物で、苗場山麓北部の小松原湿原を形成した。
- N4:第4期 山頂の平坦面をつくる溶岩で、山頂湿原を形成した。
苗場火山の溶岩分布と南北方向の地質断面図 『秋山郷の地学案内』を一部改変
参考文献
地学団体研究会1983 『魚沼層群 地団研専報26』
国土交通省北陸地方整備局 2007 小林巌雄 監修
地学団体研究会 2011 『巨大地震震害と対策 地団研専報60号 サギング地形』
島津光夫 2018 『日本の山と海岸』 築地書館