縄文土器の素材となるのは、粘土と砂である。これら粘土と砂をどこで獲得していたかの調査研究がある(小川原ほか:2024)(河西:2018)(菅頭ほか:2018)。
基本的には、遺跡周辺の素材を獲得して土器製作が行われていたこと明らかにありつつある。
沖ノ原遺跡出土の土器の胎土分析では、遺跡周辺で採取された粘土と類似するという分析結果がある(西田:2004)。
苗場山麓の地質構造は、第三紀~第四紀の玄武岩、安山岩、デイサイト~流紋岩などの火山岩、そして、堆積岩が分布する。道尻手遺跡出土の土器の分析では、花崗岩を含む砂が混ぜられた土器が確認され、遺跡外での製作や、遺跡周辺外で採取された砂が使われている事例も認められた。
さらに、本地域において、各河川の砂の岩石構成や比較対象として、他地域の調査分析が行われている。結果、河川によって岩石構成が明らかになりつつある。清津川水系(安山岩31%、砂岩21%、流紋岩17%、斜長石16%、その他15%)。釜川水系(安山岩58%、砂岩3%、流紋岩28%、斜長石3%、その他8%)。中津川水系(安山岩57%、砂岩4%、流紋岩29%、斜長石4%、デイサイト4%、その他2%)。信濃川水系(安山岩35%、石英―単結晶23%、砂岩9%、流紋岩9%、斜長石17%、その他7%)。これらの結果から、今後、土器に含まれる砂がどの河川から採取したか想定することができる。
さらに比較対象として、同じくジオパークに認定され、火焔型土器が出土する地域の調査分析が進められている。
佐渡ジオパークの範囲である佐渡島では、火山岩、デイサイト~流紋岩、安山岩、玄武岩、堆積岩が分布し、花崗岩が少ない傾向にある。そのため、堂の貝塚・長者ヶ原遺跡出土の土器の砂は、デイサイト~流紋岩、石英、堆積岩含む。砂の調査分析では、大佐渡山地地持院川水系(安山岩74%、デイサイト12%、その他14%)。小佐渡丘陵国府川水系(安山岩39%、デイサイト54%、その他7%)。小木半島新保川水系(玄武岩71%、斜長石22%、単斜輝石7%)であり、土器の分析からは、在地の砂を利用されていると考えられる。そして、花崗岩類主体の土器は、在地の資料でないと考えられる。
糸魚川ジオパークの範囲の中に流れる姫川水系(安山岩16%、砂岩71%、泥質岩5%、流紋岩2%、斜長石2%、その他4%)の砂の構成も分かりつつある。今後も土器の分析と砂の比較により、土器の制作や動きなどが明らかになることが期待される。
参考資料
西田泰民 2004 「混和材としての土器片の利用について」『火焔土器の研究』 同成社
河西 学 2018「馬高式土器胎土の肉眼観察からみた岩石鉱物の特徴」『馬高式土器の成立・展開・終焉―予稿集―』 津南町教育委員会
菅頭明日香・三浦麻衣子・建石徹・二宮修治 2018 「蛍光X線分析法による馬高式土器の胎土分析」
小川原孝彦・貞包健良2024「地域の地質と河川砂」『縄文時代中期の資源利用(1)―火焔型土器が繋ぐジオパーク-』 苗場山麓ジオパーク振興協議会