本ノ木遺跡B地点のやや離れた2箇所の確認調査トレンチから遺構が検出された。
9トレンチは、Ⅰ層→Ⅱ層→Ⅲ層→Ⅳ層→Ⅴ層→Ⅵ層が整然と上下関係を保ち堆積していた。Ⅱ層は栗褐色土層であり、分析の結果As-UT(浅間馬高火山灰:5000年降灰年代)が含まれていた。Ⅳ層から押圧縄文土器群が出土し、ハの字爪形文土器や自縄自巻土器などがある。列石状遺構はⅤ層層理面にあり、径20~25cmほどの亜円礫がおおむね東西方向(主軸N-85°-E)に並んでいた。漸移層であるⅤ層中からは遺物の出土は無いが、その下位のⅥ層から押圧縄文に分類される小破片土器が出土している。
12トレンチはⅠ層からⅥ層まで整然と堆積していた。Ⅳ層およびⅥ層から押圧縄文土器群は稀薄ながら出土した。問題の立石状遺構は、その基底部がⅥ層中にあり、頭部はⅤ層を跨ぎⅣ層下部に突き出る。これら二つの立石は、赤茶けた褐色(R1)と青味かかった灰色(R2)を呈する。掘り込み遺構は確認できず、人為か自然為かについては不詳である。これら異なる色調の二つの立石は、「赤と青」を意識した象徴的な遺構であるとの意見がある。
参考文献
佐藤雅一ほか 2017 『本ノ木-調査・研究の歩みと60年目の視点-』 津南町教育委員会
佐藤雅一ほか 2018 『本ノ木遺跡 卯ノ木南遺跡 家の上遺跡―信濃川上流域草創期遺跡群遺跡範囲確認調査報告書―』 津南町教育委員会