苗場山麓は海の底だった。苗場山麓で実際に見ることができる大地・地層は、海の底でできた。苗場山麓で確認できる一番古い地層は結東層である。この地層は、毛無山・鳥甲山や苗場山が火山活動する前の土台となっている。
約2,100万年前、ユーラシア大陸の東側に陥没帯ができ、日本列島の原型が生まれた。そして、約1,600万年前ころから拡大途中の日本海では、海底火山の活動が活発になり、苗場山麓の土台となる結東層ができた。結東層は、安山岩や玄武岩の溶岩と火山灰などの火山砕屑岩からできている。それらは熱水で変質して緑色を帯びているため「グリーンタフ」と呼ばれている。
日本海の拡大が終わると、日本列島は、ほぼ現在の位置に落ち着いた。海底火山の火山活動も止まり、静かな日本海の時代になった。このころの対馬海峡は、陸地であり、日本海は大きな湾になっていたと考えられる。苗場山麓はまだ海の底であった。
現在、苗場山麓で目にすることができる一番古い地層は「結東層」である。
結東層は、下限が不明であるが本地域の最下位層をなし、変質した輝石安山岩溶岩及び同質の火山砕屑岩を主とする。一部に玄武岩枕状溶岩及びハイアロクラスタイトがみられる。挟在する黒色泥岩から産出する有孔虫化石は、新潟県標準層序の七谷層に対比される。
結東層のできたころ
- 地層名
- 〈結東層〉島津光夫ほか(1983)による。
- 模式地
- 長野県栄村小赤沢から新潟県津南町結東を経て、逆巻までの中津川沿い。
- 分布
- 中津川本流沿いとその支流の硫黄川及び小赤沢沿いに、東部では、清津川支流の 釜川上流と支流の千倉沢沿いに結東層の一部には、細かい花崗岩が西部では栄村 釜川上流に分布する。
- 層厚
- 1,500m+
- 層序関係
- 下限は不明である。西田尻層に不整合で覆われる。魚沼層群及び第四紀火山岩類にも不整合に覆われる。
- 岩相
- 中津川沿いでは暗緑色暗緑灰色の輝石安山岩溶岩及び火山砕屑岩を主とする。溶岩には、柱状節理及び板状節理が発達している。火山砕屑岩は、火山礫凝灰岩・凝灰角礫岩・火山角礫岩からなる。栄村釜川上流では、一部に溶結凝灰岩が、柱状節理が発達している。硫黄川・小赤沢川には、暗緑色の玄武岩枕状溶岩及びハイアロクラスタイト*が分布するが玄武岩は安山岩の上位と思われる。中津川沿いの津南町清水川原などで、わずかに泥岩と砂岩が狭在する。
新第三紀層の最下部の結東層は、安山岩、玄武岩の溶岩と火山砕屑岩(火砕岩)で構成される。海水等で変質して緑色になっている。総称して緑色凝灰岩(グリーンタフ)と呼ばれている。結東から小赤沢付近までの中津川沿いには溶岩が多く、魚野川、雑魚川には火砕岩が多く露出している。
玄武岩の中には水中で噴出したことを示す枕を積み重ねたような形を示す枕状溶岩がある。中にはさまっている黒色泥岩~頁岩には有孔虫の化石を含んでいる。有孔虫は、深海に棲む種であることから深い海底で噴出したことがわかる。
結東層の上に重なる上野層、大沢層、葎沢層は頁岩、砂岩を主とした海底に堆積した地層で、頁岩は平行にうすくはがれる。
*ハイアロクラスタイト:水冷破砕された火砕岩の一種。原義は主に玄武岩質の溶岩流が水中を流れるとき、水と接触して表皮が急冷され、破砕されて生じた多量のガラス質の小片からなる岩石
「苗場山」図幅内の地質総括図
参考文献
島津光夫・立石雅昭 1993 『苗場山地域の地質』 地質調査所