約14,000年続いた縄文時代は、幾度かの気候変動を経験してきた。すなわち、気候を背景に自然界の構造も変化し、その自然界への働き掛けとしての生業活動も地勢と複雑に関わり合いながら多様であった。
食料獲得も季節と深く関わる。獣の皮と肉を考えるならば、早春が良い。遡上性魚類の鱒であれば早春、鮭であれば晩秋であろう。山の山菜や木の実などは、春と秋に分かれ、盛夏期は食料獲得が低調である
刺す 石槍
本ノ木遺跡
「刺す」とは、槍や鏃で獣や魚を刺す行為であり、動く食料対象物を直接的に獲得することである。
掘る 打製石斧
町内遺跡出土資料
「掘る」とは、土に埋もれている根茎類などを想定する。苗場山麓では晩秋の作業である。やはり、食料対象物の直接的に獲得する行為である。
切る 石匙
諏訪前東A遺跡
「切る」行為は、獲得した魚や獣などをさばくという間接的な二次的行為を意味する。一方、材として茅やカラムシを直接的に採取する場合にも「切る」行為は存在する。
伐る 磨斧
正面ヶ原A遺跡
「伐る」行為は、建造物や刳り物、道具の柄などを直接的に伐採獲得する行為である。使用される石器は磨製石斧である。小形磨製石斧は獲得材を二次的に加工する道具である。磨製石斧の大きさによって役割が違う。
穿つ 石錐
洗峰E遺跡
穴を開ける行為である「穿つ」も二次的な加工行為である。一次的行為で得た動物の毛皮や骨、角、植物の樹皮、貝殻などに紐を通す穴を開ける行為を「穿つ」という。
磨る 石皿・磨石
正面ヶ原A遺跡
「磨る」行為は、石皿と磨石のセットで行われる。獲得した食材を加工乾燥させた後に、その食材を石皿の上で磨石によって叩き潰して挽く。この行為は、石臼の遡源形態である。この対象物は、木の実だけではなく、乾燥した獣や魚などの骨付肉も叩き潰して挽くことで粉に変化したと思われる。粉での乾燥保存は重要であり、多様な粉を混ぜて土器で煮る行為を想定する必要がある。
このような行為は、『一次的行為』と『二次的行為』があり、それに伴う道具も分かれる可能性が高い。『一次的行為』とは、動物を狩猟することで、『二次的行為』は狩猟した動物から得た皮や骨などを加工する行為のことである。このような作業が季節と連動して計画的に進められていた生活があることは重要である。このように越冬準備に軸を持つ生活スタイルの中で、計画的な居住施設の修繕や建設、あるいは祭りや結婚式が行われたと推測される。さらに非計画的に葬儀と埋葬行為が行われることも1年間サイクルの中にあることを忘れてはならない。
参考資料
佐藤雅一・佐藤信之・今井哲哉 2014 『魚沼地方の先史文化』 津南町教育委員会